合宿免許の限界
顧客サービスが低下している物流コストが高騰して企業収益が圧迫されている生産・販売体制はできたが、急成長で物流管理体制が追いつかず、経営効率が低下しているなどが明らかになった。
同社では、経営改革にあたって経営トップ以下が、売上高の約7割を占めるドライ商品のロジスティクスが改善されなければ、経営が立ち行かないという危機感を共有して、「ロジスティクス=経営課題」と捉えた。
そこで、チルド商品(何よりもスピード)とドライ商品(賞味期限に余裕あり)との違いを認識して、ロジスティクス改善に取り組んだ。
あえて全国一律の翌日配送体制は採用せず、コストとサービスの見合いで、売上げも少ない北海道・九州では顧客に翌々日納品を説得した。
まず、全社的なロジスティクス戦略を検討し、「ドライ商品とチルド商品では流通特性が大きく異なるので各々に適したロジスティクスシステムを構築する」との方針を決定した。
2年間というハイスピードで実施するため、ハード(施設.設備)よりもソフト(仕組み)主体中心の改善で行くことにした。
そこで、組織改革生・販・物情報システムの一元化既存設備の活用 人材の活用物流業者と連携しての物流ネットワークの構築を進めた。
後述するロジスティクスセンター(以下、「LC」と省略)も、ゼネコン・物流機器メーカー等からの当初見積り10億円を、4億円以下の投資に抑えた。
それでも同社の経営利益6億円の大半に相当する。
総合目標の設定としては、まず「取り組みの狙い」として、お客起点型のロジスティクス構築を志向した。
2年間という短期としたため、ハードは間に合わずソフト中心の改善となった。
そこで、物流トータルコストの削減物流CS(顧客満足度)の向上独自のロジスティクスシステムの構築3点に絞り込んだ。
次に、「取り組みの方針」として、調達まで含めてロジスティクスの仕組みを抜本的に見直すこととした。
また、他に頼らず自社だけでやることにした。
そこで、物と情報の流れ・仕組みを抜本的に見直す調達〜生産〜物流〜販売の一本化製品・情報の流れの直通化・共有化による顧客満足度の向上創意工夫・自主的活動による当社独自のロジスティクスシステムの構築の4点を掲げた。
さらに、「取り組み目標」として「コストーサービスー経営効果」ごとに、支払物流費の削減 在庫の削減人件費の削減鮮度管理の強化、先入れ先出しの徹底(鮮度の高い商品を届ける) 欠品ゼロ物流クレーム撲滅情報の一元化による販売支援需給調整の一元化による生産支援(計画的な生産)生・販・物の一体化によるコストダウンと、社員全員にもわかりやすいように、「3−3−3」で掲げた。
94年4月に「Aロジスティクスシステム構築プロジェクト」が発足した。
実施期間は、94〜95年(2カ年間)の短期決戦とし、自社で以前からやってきた方針管理手法を適用して、改善活動を推進した。
ロジスティクス改革は、現在も継続実施している。
まず、ドライ食品の生産拠点が、長野県飯田地区に集積していることに着目し、「飯田市の工場内に物流センターを新設し、4工場の出荷機能と全国4カ所の物流センターを集約して、全国翌日直送システムを構築する」ことを基本戦略とした。
既存工場内にセンターを新設することが建設投資、運用コストを最小化できる条件であるとして、天竜工場内の物流ヤードを用地として選定し約4億円をかけて、事務棟・庇など整備した。
新センターは「ロジスティクスセンター」と命名し、同名のロジスティクス組織を設置した。
なお、スペース上の制約と投資効率から機械化・自動化は、フオークリフト等に留めた。
LC構内が狭いため、どのように日々の出荷量を捌くかが課題となった。
出荷場としては、最大でも大型トラックが同時に6台しかつけられない。
ドライ製品は10トン車に600ケース積載できる。
1日当たり平均1.5万ケース出荷される。
したがって在庫を4万ケースに設定した。
LCには原料・資材の入荷、南信地区の他工場との間の製品・資材の移送・受入れ、出荷を合わせて1日50台のトラックが出入り(出荷だけで大型20台)する。
それらを、6バースで捌<ため、入出庫をバース別にタイムチャート化した。
スペースが狭侭なため、4工場からの集荷、出荷エリア別のピッキング・出荷・積込み作業を綿密なスケジュール管理によって回転を上げていくことで解決した。
物流センターの集約化の成否は、構内の混雑を防いで出荷作業を効率化するとともに、当日受注・翌日納入の直送地域をどの程度広域化できるかが、鍵を握っていた。
幸い従来から取引している物流業者のなかで、N通運・T・S運輸が全国ネットワーク型物流業者であることから、両者の協力によって、全国26方面を、東日本=N通運、西日本=T・S運輸に絞り込んで割り振ることで、広域直送体制が確立できた。
物流ネットワークの構築によって、山口県以西の一部を広島センターに残すのみとなり、3センターが廃止された。
支払物流費と在庫の削減、鮮度管理の強化に大きく貢献した。
全国各地に出荷翌日(北海道・九州は翌々日午前)に届くように、納品リードタイムから出荷時刻を逆算してバースの使用順序を決めた。
両者の運行ダイヤをエリア毎にタイムチャート化し、顧客からの問い合わせに「現在どのあたりを走っているか、商品はどこにあるか」を即答できる願いして翌々日納品とした。
受注は11時締め切りで、LCにピッキングリストが出ると同時に、運送業者へも送り状が出る。
ピッキングリストも、この出荷ダイヤを基本に、運送便別・顧客別に作成している。
LCでは、商品ごとにトータルピッキングして、方面別に種まき方式で仕分けする。
得意先別ピッキングリスト兼荷札で検品を行う。
LC要員はパート男女13人で流通加工も実施する。
午前は生産、午後は物流に従事し生産性を上げている。
物流センターの集約によって、4カ所の物流センターに対する営業所の管理業務が不要となった。
さらに受注業務をLCに直通化することによって、受注情報のスピードアップ、クイックデリバリイ、営業内勤者の省力化、セールスへの戦力化等の改善が進んだ。
従来は、全国0カ所の営業所で受注したものが、東日本(東京).中部(飯田).西日本(大阪)の3営業管理課を通じて、4工場(伊那.飯田.天竜2)で受注していた。
改善後は、営業所を経由せず、集約された東西の受注センター(東京・大阪)で顧客から直接受注したものが、需給調整機能についても、従来は、各営業管理課で所管地域の販売予測、物流センターへの在庫補給、製品受払を行い、生産管理部が物流センターロジスティクス部で生産(各工場・生産管理部)と販売(営業管理部・2受クスの全領域をカバーしている。
リンクする範囲(参画調整業務)を広げないと、他部の指導はできない。
従来の所管業務だけなら、物流センター部で十分であり、そこに機構改革の目的があった。
従来は「売る人」と「作る人」が違っており、そこでロジスティクス部をつくり、組織のフラット化を目指した。
ロジスティクス部は、LC部と購買課で構成し、生産・販売と同等である。
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